武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の「きくちちき絵本展 しろとくろ」。
なんともほっこりするビジュアルが気になったので、さっそく行ってきました!
そこに描かれていたのは、ハッピーだけどちょっと切ない「猫のしろと、犬のくろ」の出会いの物語。
今回は「きくちちき絵本展 しろとくろ」を実際に鑑賞してみて、2匹の出会いの物語に没入できそうな鑑賞順路を考えてみました。
「きくちちき絵本展 しろとくろ」はどんな展覧会?
こんにちわ!シブきち(@ShibukichiNet)です。
武蔵野市立吉祥寺美術館で開催中の「きくちちき絵本展 しろとくろ」。
シブきちが訪れた時は、小さなお子さまの姿もチラホラ見えて、ファミリーでも楽しめる展覧会なんだなと感じました。
まずはどんな展覧会なのか、その概要をご紹介します!
絵本作家・きくちちき さんってどんな人?
きくちちきさんは1975年生まれ・北海道出身の絵本作家。
北海道の大学の美術学部建築学科を卒業後、上京。デザインの仕事に携わった後、33歳の時に絵本作家を志されたそうです。
2012年に刊行されたデビュー作『しろねこくろねこ』が、世界最大規模の絵本原画コンクール「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」で「金のりんご賞」を受賞!
きくちちきさんの名は瞬く間に世界的に認知され、新進気鋭の絵本作家として注目されることになりました。
さらに「金のりんご賞」の受賞日には息子さんが誕生し、きくちちきさんにとってかけがえのない日となったのです。
それからのきくちちきさんは、愛する息子さんを主人公に投影させて絵本を作るようになったそうです。
息子さんとのエピソードを題材にしたり、息子さんの成長を動物や自然の摂理になぞらえたりして、そのつど作風を変化させながら、たくさんの絵本を制作されてきました。
デビューから現在までの7年間で生み出された絵本は、なんと20冊以上。
絵本を手に取ってくれている人、そして100年後の誰かの心にも寄り添えるように、自身の絵本が“100年越しの手紙”であることを願って絵本づくりに邁進されています。
(参考『きくちちき絵本展 しろとくろ』パンフレット)
「猫のしろと犬のくろ」が主人公の2つ新作絵本がメインの展示に
今回の「きくちちき絵本展 しろとくろ 」にあわせ、きくちちきさんは2冊の新作絵本を制作されました。
猫の“しろ”と犬の“くろ”が主人公の、ふたつの物語です。
- 猫のしろが主人公の絵本『しろとくろ 』
- 犬のくろが主人公の絵本『くろ 』
「きくちちき絵本展 しろとくろ 」では、この2つの新作絵本の原画全点、ラフスケッチ、加えて “絵本にならなかった原画”もあわせて展示。
さらに今回のために制作された、大型バナー作品(迫力満点!)や立体作品を含め、約200点を展示しています。
「しろとくろ 」だけの企画展と思う人もいると思いますが(シブきちはそうでした…)、企画展タイトルにもある通り「きくちちき絵本展」なので、他の絵本作品からも多数展示されています。
その中でメイン展示が「しろとくろ 」となっていて、印象としては全体の7割を占めています。
「きくちちき絵本展 しろとくろ」のオススメ鑑賞順路
「きくちちき絵本展 しろとくろ 」では、「しろとくろ 」の作品と世界観がメインの展示となっています。
そこで大切なポイントが2つ。それは…
- 「しろとくろ 」の展示には、秘められたストーリーがある!
- 「しろとくろ 」の秘められたストーリーは、入場前から始まっている!
ということです。
それではさっそく「しろとくろ 」の秘められたストーリーをたどる、「きくちちき絵本展 しろとくろ 」のオススメ鑑賞順路をご紹介します。
順路1:グッズ販売コーナーで「しろとくろ 」の2冊の絵本を読む
コピス吉祥寺の7階へエレベーターで昇ると、すぐに吉祥寺美術館フロアです。
入ってすぐに受付カウンターがあり、その前には展示関連の作品やグッズを販売するコーナーがあります。
普通なら「グッズ関連は帰りにチェックしようかな」と思うところですが、今回は違います。
まずはここで、「しろとくろ 」の2冊の絵本(サンプルあり)を読むことをオススメします!
- 猫のしろが主人公の絵本『しろとくろ 』
- 犬のくろが主人公の絵本『くろ 』
この2冊の絵本は、猫のしろと犬のくろの「出会いの物語」です。
今回の企画展は、この2冊の絵本の世界観がメインの展示となっています。
実際に行ってみて感じましたが、絵本を読んでから展示を観るか、読まずに展示を観るかでは「しろとくろの世界への没入感」が大きく変わってくるのです!
さらにこの2冊、どちらを先に読むか?にも答えがあります。
- 猫のしろが主人公の絵本『しろとくろ 』
- 犬のくろが主人公の絵本『くろ 』
この順番で読むことをオススメします。なぜならこの2冊は、『しろとくろ 』が先に作られ、その続きとして『くろ』が作られた、二部構成の物語となっているからなんです。
この2冊を読んでおけば、「しろとくろ 」の2匹の関係や、背景もあらかじめわかります。何より、これから出会う「しろとくろ 」への愛着が一気に湧いてきます。
この2冊を読んだ時点で、すでにじんわりと涙腺がゆるんできました。
順路2:ロビー展示は見ずに入場する
美術館入口から企画展入場口まで少しロビーが続くのですが、すでに入場前から展示は始まっています。
ロビーでは主に、きくちちきさんのデビュー作『しろねこくろねこ』の原画を展示。とても鮮やかな色使いに思わず観入ってしまいますが、まだ「しろとくろ 」の展示はありません。
先ほど読んだ「しろとくろ 」の絵本の余韻が覚めないうちに、チケットを渡して入場を済ませます。
(場内撮影はOKですが、入場者の方が映らないように、とのことです)
順路3:奥の「しろとくろ 」展示エリアへ直行する
チケットを渡して入場すると、きくちちきさんの絵本がたくさん並べられた、広めの読書コーナーが出現します。
小さなお子さんも数人いて、お母さんやお父さんに楽しく絵本を読んでもらっていました♪
こちらの読書コーナーを囲むように、壁一面に絵本の原画が展示されていますが、「しろとくろ 」の展示はまだここにはありません。
「しろとくろ 」の展示は、この絵本棚の壁の向こうにあるのです。
そして、絵本棚の向こうの「しろとくろ 」展示エリアに入るには、「2つのルート」があります。
- 左から入れば「猫のしろ」ルート
- 右から入れば「犬のくろ」ルート
なぜルートが2つあるかというと、「しろとくろ 」展示エリアが…
- 猫のしろが主人公の絵本『しろとくろ 』
- 犬のくろが主人公の絵本『くろ 』
の2つの絵本を対にした展示になっているためです。
絵本で描かれた「しろとくろ 」の出会いの物語。会場では、その出会いの物語が展示というカタチで再び描かれることになります。
順路4:立体の「しろとくろ 」に会う
「しろとくろ 」展示エリアに入ると、そこはまさに絵本の世界。
壁一面に「しろとくろ 」の原画が展示され、思わず先ほど読んだ2冊の絵本の中に、足を踏み入れたかのような錯覚にとらわれます。
この絵本の世界の中で、ぜひ会って頂きたいのが「立体のしろとくろ 」です。
絵本の中で見たしろとくろが、現実世界に飛び込んできたかのような感動!
2匹はそれぞれ展示エリアの両端で、お互いの方を向いて可愛く佇んでいます。まさに、この会場で再現される2匹の出会いを物語っているかのようですね。
順路5:大型バナー作品を右から順に鑑賞する
「しろとくろ 」展示エリアの奥の壁には、迫力満点の大型バナー作品がずらりと並んでいます。
縦260cm、横160cmの、墨と水彩で描かれた作品が6枚。
この大型バナーは、きくちちきさんが今回の「きくちちき絵本展 しろとくろ 」のために制作した完全描き下ろし作品だそうです。
実はこの大型バナー、絵本の『しろとくろ』『くろ』の「その後」を描いた作品となっているのです!
入口で読んだ2冊の絵本の「その後」を、こんなに大きな作品で観られるとは感慨深いものがあります。
鑑賞の際は、ぜひ向かって右の作品から順に観ていってください。最後にはなんともワクワクする「新しい出会い」が待っています!(これは観てのお楽しみです)
「きくちちき絵本展 しろとくろ」は息子さんへの愛に満ちあふれている
絵本『しろとくろ 』と『くろ 』は、きくちちきさんの息子さんの姿を投影して描かれているそうです。
確かに、子どもが話すことやすることの「けなげさ」や「純粋さ」、そして「ちょっとした切なさみたいなもの」が、作品の中に感じられるような気がします。
見過ごしてしまいそうな瞬間を大切に描写している、きくちちきさんの作品からは、息子さんへのあふれる愛情が伝わってくるようです。
「しろとくろ 」以外の作品にもそれは随所に見られますので、ぜひ注目してみてください。
「きくちちき絵本展 しろとくろ」の基本情報
企画展示 | きくちちき絵本展 しろとくろ |
場所 | 武蔵野市立吉祥寺美術館 |
住所 | 〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町1丁目8番16号 FFビル7階 |
会期 | 2019年9月21日(土)~11月10日(日) |
休館日(期間中) | 10月30日(水) |
入館料 | 300円(中高生100円、小学生以下・65歳以上・障がい者の方は無料) |
詳しくはこちら | 武蔵野市立吉祥寺美術館ホームページ |
「きくちちき絵本展 しろとくろ」、いかがでしたか?
きくちちきさんのほっこりする絵本原画の数々に、じんわり癒されること間違いなしです!
何より「しろとくろ 」がかわいすぎです♡
最後にシブきちお気に入りの作品を一枚。
それでは今回はこのへんで。
ご覧いただきありがとうございました!
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